お姉ちゃんの憂鬱
「…お姉ちゃんはどこまでも優しいですね」
「そうでもないぞー。あたしは興味のない人にはとことん冷たい人間よ?」
編入したてのまどか、ぶりっ子だったさぁちゃん、ギラギラなメグに一人ぼっちな直くん。
今でこそ近くで一緒にバカやれる関係にあるが、ほんの2か月前には同じクラスであるにも関わらず全く話したこともない人たちだった。
…そう考えると、あたしたちを引き合わせてくれた胡散臭メガネには感謝した方がいいのかもしれないな。
「でも、現在進行形でお姉ちゃんは僕に優しくしてくれるし、みんなも僕と仲良くしてくれています。それだけわかっていれば僕は十分幸せです」
そう言ってにへらっと笑った直くんに、ただ驚いた。
直くんは素直だけど、その感情が表情にでることがほとんどないからだ。
「直くんは笑うとかわいいなあ」
「僕、笑ってました?」
「うん?笑ってたよ?」
「それはレアですね。きっと明日いいことありますよ」
「ぶはっ なんだそれ!直くんにそんなご利益があるなんて知らなかったよ」
本当にこの子はなにを言い出すかわからなくて面白い。
これは明日一日何かいいこと起こることを期待して待つしかないな。
「明日はカラオケ、楽しもうね」
「もちろんです。ベストコンディションで臨みます」
明日もみんなに会えるんだから、いいことが起こるに違いないや。
だって、どう転んでも絶対に楽しいもの。