お姉ちゃんの憂鬱

そんな話をした次の日。

誰かのいたずらだなんて、そんな考えが甘かったことを知る。




「お姉ちゃんどうしましょう。教科書が帰ってきたんですが、全ページ絵具にまみれてて読めません」



そう言って登校してきたあたしの元に来た直くん。

その腕に抱えられているのは、表紙をカラフルに染められた教科書だった物。




「なんだそれ!!」


「今日は辞書の代わりにこれが入っていました。ロッカーの中がほんのり絵具臭」


「いや、そんなことはどうでもいいから!なにこれ!読めないじゃん!」


「はい。読めませんね」


「なんでそんなに冷静なのよ!」


「これでも結構驚いていますよ」


「表情筋頑張れ!」


「もっと応援してあげてください。頑張るか分かりませんが」



いつも通りの表情の直くんに突っ込みつつ教科書だった物の中から一冊抜き取り、開いてみた。

表紙と同じようにぐちゃぐちゃに染められた中身は残念だが読むことは困難な状態だ。










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