Love their
ほっと胸を撫で下ろしながらようやく安定した鼓動にリズムを合わせるように顔を上げて言った。


「ありがと〜大事に使うよ」


「ん。また余ってるサンプルとか持ってくる。それ、ホントいいよ〜」


里子は軽く頷きながらレイの持つ口紅を指差してサトルとの会話に戻った。



暫くレイは蓋をを開けては鮮やかな桜色に発色した口紅を見つめた。


艶めく淡いピンクの中に控え目にパールラメが輝いている。


恋人たちへ、というよりも

恋の始まりの淡い気持ちの色彩が強い気がする。


里子曰く、恋人たちがいつまでも淡い恋心を忘れないように、と願いを込めた口紅らしい。



今の私にまるで当てはまるようなコンセプトだ。


というよりも必要なんだと思う。


これを唇に纏う時は、彼に逢う時なのだろうか。


それとも、サトルと一緒に居る時なのだろうか。



世の中には私と同じように道を外して迷う人が何人いるのだろうか。


この口紅をいつ使うのか迷ったりする人がいるのだろうか。



レイは空きかけた桂花陳酒のグラスを傾けながら指で乾いた唇をなぞった。


その上に開けたての瑞々しい口紅を薄く乗せた。

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