Love their
「お、いいじゃん。お前っぽくないけど」


「レイは色が白いから似合うね」


「ほんと?良かった」


鏡を見ずに軽くなぞっただけであったが、唇の温度に溶けるようにほんのり甘い香りが広がり話をしていた2人が脱線して、レイに視線を向けた。



「企画、当たりみたいね〜」


そう言って、里子が携帯を手に立ち上がった。


「電話?」


「ん…トイレと…会社にちょっとね。」


里子はレイの問いかけに少しだけ振り向きながらカーテンをくぐり席を空けた。


「どうする、まだ飲む?」

里子のムスクの残り香に感じてカーテンの隙間に奪われるように視線を向けるレイにサトルが呟いた。


「そだね、あと1杯だけ…」


自分の唇から放つ甘い香りとムスクのスパイシーな残り香が混ざる。



熱気で溢れるクラブで漂う一種の媚薬ような香り。


まだ身体がお酒を欲求していた。


「んじゃ俺も。里子も飲むよな」



そう言ってサトルはカーテンの隙間に頭を入れて前後辺りを見回した。


レイは店員が捕まらないのを見かねて言いに行こうか、とサトルを見上げて立ち上がった。
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