Love their
「気分悪かったんだろ?」

「へ?あ、うん…そうだね…」


次にサトルの口から出てくる言葉をいくつか想像しながらゴクリと味噌汁を喉に流した。


「大丈夫なの?」


「あ、うん…もう平気」


ジャガイモを頬張りながらサトルが上目使いで言った。

レイは頷きながら軽く笑顔を作る。


ドキン…ドキン…。


言葉を返すのがやっとだったがなるべく平静を装うように箸を動かした。


「ごめんな…」


「へ?」


サトルの意外な呟きに思わず声がうわずった。


「あれから追いかけようとしたけどさ、結局里子とあそこで飲んだんだ…」


サトルが申し訳なさそうにレイの顔を見る。


「…そんなのいいよ〜勝手に帰ったの私だし」


話の流れがレイの考える悪い方向とは逆に進んでいた為ホッとして明るく返した。


あの時、無我夢中で走っていたが、その後もしサトルが追いかけて来てたなら…。


レイは想像して身震いした。

時間差があったにせよ恐らくバッタリと彼と3人で鉢あわせになっていたかもしれない。


「ちゃんと帰れた?」


一瞬考えで動きの止まったレイを見て心配そうに言うサトル。

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