Love their
そんなサトルの表情を見て私が怒っていると思っているに違いない、とレイは思った。


謝らなきゃいけないのは私の方なのに。


勘違いするサトルに余計に胸が締めつけられそうになった。


「帰ったよ。だから今日こうして居るじゃん。心配なしだよ。もういいじゃん」

「そっか、ならいいけど…」


レイのいつもと変わらない口調を見てサトルもまたホッとしたようで後ろのソファに背中を預けた。


レイはなるべく話題を昨日から反らすように話を区切った。


ただそれだけの会話だったがレイはお腹いっぱいになり最後の一口が入りきれず箸を置いた。


「洗ってくるね」


「美味かった。ごっつぁんでした」


イシシと歯をむき出しにして笑顔を向けるサトル。


食器を重ねながらううん、と会釈しながら礼を受けた。





洗剤をスポンジに染み込ませ食器を丁寧に洗っていく。

サトルにしては珍しく綺麗に片付いたシンク周りのおかげで片付けがスムーズに出来る。


レイは聞こえてくるサトルの笑い声に気になって顔だけで振り返る。


サトルは楊枝を口に加えながらソファに寝そべってテレビに夢中になっていた。


夢中でこちらを見ようともしないサトル。

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