Love their
罪悪感を背負う辛さをはけ口にしたような今日の理由に、感謝なんてされたら。


余計に辛さが増すじゃない。



当たり前のように流して欲しかった今日の私たちを、サトルの温もりがそれを阻止する。


レイにはそれがとても居心地の悪いものでしかなかった。



ごめん。
何度謝ればいいんだろ。




密着したサトルが軽く離れたかと思うとレイの腕を取り回転させて向かい合わせになった。



「レイ、愛してる」


近づくサトルの顔をよけきれずに唇を向かい入れる。


当たり前のようにしていたキスに違和感を感じる。


軽く拒絶するレイの唇を更に覆い包むサトル。



触れるサトルへの違和感を拭い切れずに拒絶してはいけないと冷静な頭の中が言う。



私には拒絶する理由がないはず、だから。


身体と心が拒絶しても、頭で我慢させる。



早く、早く終わればいいのに―。



生理的な拒絶ではなく、ただサトルとはそんな気持ちが起こらないという軽い拒絶。


隠しながら別なことを考える。



サトルが知ったら。


もし、サトルが彼のこと知ったら。



サトルはどうなんだろう。


私はどうなんだろう。


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