Love their
彼は私が気を遣って電話しなかったことを分かってくれている。


いつも一歩先を待ってくれている彼がとても好き。



「仕事だったら…困らせちゃいけないと思って…メールしちゃったけどね」



胸に埋める口元が隙間を見つけて言葉を放つ。



逢いたかった。



逢えて良かった。



「いや、実はねメールくれる少し前に病院を出てたんだ」


彼はゆっくりと密着していた身体を離しレイを見つめて言った。


「え?そうなの…」


「うん。確かにオペが入ったから遅くまで居たけど、連絡ないから帰ろうとしてた…車で走ってる時にメールに気付いてね…」


「…そうだったんだ。戻って来てくれたの?」



彼はきょとんとするレイを再び軽く抱き寄せると言った。



「当然」





このまま、離れたくない。



「行こうか…車乗って」


「うん」



離れたくない。



そう、このままずっと2人で。



助手席のドアを開けてレイが乗るのを誘導してくれた。


レイは車高の高い皮シートの座席に身体を滑らせるようにして座った。


彼はそれを確認してからドアを締めると運転席に颯爽と乗り込む。


< 197 / 274 >

この作品をシェア

pagetop