Love their
仕事をすれば、そんなこと考えてる暇なくなる。


そんな時に限ってこの雨…。


憂鬱な気分をさらに助長させた。


レイは窓の外に置き去りになりそうな目を時計に向けた。


もう、行かなきゃ…。



もう一度、今度は窓に近づいて空を見上げる。


ぶ厚く重なる雲。
綿菓子みたいに、とは言い難いくすんだ白は黒で縁取りして更に暗く重たさを増す。


今の私の心の色だ。


どれを混ぜても綺麗な色に染まることは出来ない。


サトルを全力で愛したあの頃の真っ白な私は、梅雨前線に押しやられてしまって。


今頃、何処にあるんだろう…。




レイは窓ごしの景色の中に映る、雨に降られて涙しているもう1人の自分を見つめながら、



ただ、ただ自問自答を繰り返していた。
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