涙の桜
1日花
僕は沢山の大切な命が失われてゆく場所に

携わっていました。

そして自分の身内でも大切な命が失われて

灰になってしまうところを見ました。

そんな僕がただひとつだけ言えることそれは

辛くて悲しいと言うことです。

でも先輩はこれは幸せなことなんだよ。

天国にいってしまってもまた違う世界がある。

そう教えてくれました。

そして僕はその意味をやっと理解できました。

冷たくなってしまった体を濡れたタオルでふき

固まってしまった手をくみ。

空いている場所に綿を積めてあげる。

そして口と目を閉じてあげ

綺麗な着物にきせかえてたびを履かせ

お化粧をしてあげる。

天国に行く為の旅の支度をすませたら

大切な人の元へと旅たってゆく。

そして僕もいつか天国にいってしまう。

でもその時に君はもう一度会ってくれますか?

こんなどうしょうもない僕に

話しかけてくれますか?

もう一度だけ会えたなら

ママって呼んで欲しい。

だめだめなママでごめんねって抱き締めたい。

そしてとても怖いことがひとつだけあります。

それはもしも僕が一番大切な君と

一緒に過ごせる日々がきて

僕らが年おとった時に

君が先に天国にいってしまうのがとても怖い。

そして辛いんです。

でも僕が先に天国にいってしまっても

君は泣かないでください。

僕は天国から君を見守れることが

それだけで幸せだから。

だからどうかその時は悲しまないでください。




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