十人十恋
「は?陰気?」
思わず声が上擦った。確かにグループワークでもあまり話さなかったけれど『大人しい』っていう印象だっただけに、その言葉は少しキツい気がした。
「言うほどでもなくない?
ちょっと人見知り激しいだけ────」
「いや陰キャ。つーか、コミュ障。
ろくに話さねーし諦めた方がいいぞ。」
津仲は手をひらひらと振って、俺の言葉を遮る。津仲は鼻で笑って言った。
「一目惚れされて恋が実らないタイプ。」
…そこまでいうか?
「お前、そんな嫌な奴だっけ。」
「はあ?
お前どんだけ村西さん好きなんだよ。
一回話してみれば多分すぐ分かるぜ。」
じゃーな、と言って津仲は俺の肩をポンと叩く。ゲラゲラと笑い声を上げながら遠ざかっていく背中に、俺は胸の中がモヤモヤした。
