恋はしょうがない。~職員室であなたと~


女子休憩室に足を踏み入れると、雨模様のせいか少し肌寒かった。


仮眠をとる時のためだろうか、ソファーの上には毛布が2枚ほど用意されている。

真琴はそのうちの1枚を持って、職員室横のテレビ部屋へと向かった。


真琴が静かにドアを開けてみると、古庄はネクタイを取り首元のボタンを外し、スーツのジャケットを布団代わりに、ソファーに仰向けになっている。
ドアを開けても首をもたげないのは、眠っているのだろうか。


足音を忍ばせて傍に寄ってみると、すでに気持ちよさそうな寝息を立てていた。

目を閉じて眼力のない古庄には、少し安心する。
真琴は少しの間、古庄の端正な寝顔を眺めた後、そっと優しくその体に毛布を掛けた。




次の日の朝、7時になると同時に、真琴は一旦アパートへと帰宅した。
家へ帰らなければ、洗顔も化粧もできなかったし、着替える必要もあったからだ。

古庄は結局帰らなかったのだろう。
職員朝礼の時、隣に立つ古庄の体からは、普段はしないタバコの臭いがした。




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