【BL】素朴系男子に恋しました。
分かってる。
コイツに悪意があるわけじゃない。
ただ……
ちょっと………
イラッとした。
「じゃあ帰ろーか。」
歩き出したコイツの腕を掴む。
「倉本?どぉした?」
「……知りたい?俺の好きな奴」
「うん、まぁ…。でも言いたくないなら別にい――っ!?」
コイツが喋り終わらないうちに、その口を塞いでやった。
瞠目して抵抗しないのを良いことに、少し長めのキス。
唇を離して、至近距離で目を合わせる。
あ、やっぱ可愛いな。
何でだろ?
何で可愛く見えんだろ?
ああ、そっか。
「――俺の好きな奴、お前だよ。」
惚れた弱みってやつか。
「なっ………」
「ふっ、びっくりした?顔、真っ赤だけど?」
「だ、だって……」
それはもう可哀想なぐらい顔を赤らめるから、俺は笑った。
「そんなに笑わなくてもいーだろ。」
「顔真っ赤にするぐらい、嬉しかった?」
「それは、その……まぁ。」
しどろもどろになるコイツの手を掴んで、俺は歩き出す。
「え、ちょっ……!?」
「帰ろうぜ。」
「こ、このままで!?」
「そ。このままで。」
ああ、ほんと…
何で好きなんだろうなぁ。
――end――

