蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
手紙を手にした翌日。
拓郎は手紙に記されていた、『日翔生物研究所』のあるI県のT市を訪れていた。
正直、『居ても立っても居られない』のだ。
何故、手紙に施設名と住所しか記されて居なかったのか。
そもそも、本当に、藍からの手紙なのか。
手紙の主の意図は、何処にあるのか?
疑問は、いくらでもある。
最初の書き置きと見比べてみると、確かに筆跡は似ている気はする。
が、拓郎は筆跡の鑑定家では無いので確定は出来ないし、又、それが藍本人の筆跡でも他人の物でも、余り意味はない。
どのみち拓郎は、その手紙を無視することは出来ないのだから。