蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

仕事先で二度ほど『拾い猫』をしてきて、君恵に引き取って貰った『前科』があるのだ。


アパートはペット飼育可なので自分で飼うつもりだったのだが、如何せん家に居る時間が少ないため、結局『家で引き取らせて』という君恵の申し出に甘えてしまったのだ。


小さくて今にも死にそうだった子猫たちは今、立派な大猫に成長して佐藤家の縁側を占領している。


一度ならず二度……いや、今度で三度目か。


我ながら、進歩がない――。


根が甘ちゃんなんだよ、お前は。


「いつも、ご迷惑かけてしまってすみません」


拓郎は、ペコリと頭を下げながら自嘲気味な笑いを自分に向けた。


「何言ってるのよ、水くさいこと言いっこなしよ。それにしても、女の子をねぇ……」


「女の子、女の子♪」


ニヤニヤ笑いが、孫娘にも伝染する。



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