*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
天城の目と、青瑞の姫の目が、ばちりと音を立てるように絡み合った。






青瑞の姫の身体はさらにはっきりと姿形を取り戻す。





天城も、声を失ったように立ち竦んでいる。






『…………あぁ、そなたは』





「…………な、なんと………」






言葉も途切れ途切れに見つめ合う二人。





汀と灯はその二人を交互に見る。






「…………え、え?


どういうこと?」





「…………まさかまた、性懲りも無く………」






そんな二人の言葉も耳に届かないようで、青瑞の姫と天城はただただ視線を重ね合う。






『ーーーーー私の愛しい人!!』





「ーーーーーなんと美しい女性だ!」






天城は泉へと一目散に駆け寄り、青瑞の姫は両腕を広げてそれを受け止めた。







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