*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
三人のやりとりを、笑いを堪えながら観察していた檀弓と卯花は、近づいてきた灯に声をかける。






「灯、あなたも都についてくる?」





「…………お断りだ。


これ以上あいつに振り回されたら、体力が持たない」






不機嫌そうな面持ちで言う灯を、檀弓と卯花は可笑しそうに眺めた。






横に来た藤波に気づくと、灯は力のない笑みを向ける。






「………藤波、災難だったな」




「………ひどい災難だよ」






皮肉っぽい笑みで答えた藤波の肩を、灯はぽんぽんと叩く。



そして、身を屈め、藤波の耳許で囁いた。





「………俺は、群雲に呼ばれていて、ついて行けない。



あいつのこと………頼んだぞ」






藤波はどこか複雑そうな表情で、小さく頷いた。






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