*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
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「んまぁ、みんな馬乗りが上手いのねぇ」
都へと駆ける道すがら、汀は感心したように声を上げた。
汀と露草は馬を扱えないので、汀は檀弓の、露草は糸萩の後ろに乗っている。
同年輩の少女である卯花と楪葉までもが手綱をとって大きな馬を上手く操縦していることに、汀は胸を高鳴らせた。
(………あぁっ、素敵!!
羨ましいわ、馬に乗れるなんて!!
やっぱり私も練習しなきゃ!!)
と、決意を新たにする汀であった。
しかし、先日の一件を灯から聞かされている檀弓は苦笑いを浮かべる。
「…………うーん、馬乗りにも向き不向きがあるからねぇ」
「えぇっ、そうなの!?」
汀は驚いたように目を丸くした。
「ねぇ、私は向いているかしら!?」
浮き浮きしたような声で、真後ろから問われると、檀弓は正直に「向いてるわけないじゃない!」と答えることができなかった。