*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
檀弓にたしなめられて、汀は慌てて口を両手でぎゅっと押さえた。



声を出さないように口を塞いだまま、それでも好奇心に負けてきょろきょろと首を巡らす。





ときどき気になるものを見つけると、ぴくりと肩を震わせ、そわそわとしはじめる。



しかしぐっと声を堪えて無言のまま、きらめく瞳でじいっと見つめている。






そんな健気な姿を見ていると、檀弓はなんだか哀れになってしまった。






「………えーと、汀。


少しくらいなら、しゃべってもいいのよ」





遠慮がちに囁かれた言葉を、神仏の声のように汀は聞いた。





「えっ!? いいの!?」





その声はやはり周囲の視線を集めるほどに大きかったので、檀弓と卯花が慌てて汀の口を押さえる。






そんな様子を、藤波は呆れたように、楪葉は可笑しそうに見つめていた。







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