箱入り結婚のススメ
「舞さん、お疲れ様」
「わざわざ見に来てくださって、ありがとうございます」
室賀さんは井出さんの向かいに座っていた。
「とりあえず座って」
麻子はがいち早く井出さんの隣に座るから、私も室賀さんの隣に座った。
こうして隣に座るのは、慣れなくて頬が赤らむ。
「麻子はコーヒーだよな。速水さんは?」
「私も同じもので」
井出さんが私達を仕切ってくれる。
店員に注文してしまうと、しばらく沈黙が訪れた。
井出さん、なにか話してくれないかなと思っていると、最初に口を開いたのは室賀さんだった。
「幼稚園の先生の大変さを初めて目の当たりにしたよ。だけど、子供達は本当にかわいかった」
「はい。皆すごく頑張ってました」
室賀さんと会話を交わすと、井出さんがクスッと笑う。
「ふたりって、いつもそんなに他人行儀なの?」
と言われたって、これでも心を許しているつもりだ。