箱入り結婚のススメ


「だってさ、出張先から電話するのだって、今までは女を引き留めるためだけだったけど、速水さんは純粋に声が聞きたくなるとかなんとか言うんだよ。
たく、いい大人が"初めての恋"みたいで気持ち悪い」


井出さんが冗談めかしてそう言うと、「失礼だから」と言いながらも麻子も笑いをこらえきれていない。


「いい人じゃない。室賀さん」


クスッと笑いを漏らしながらも真面目な発言をする麻子に、私の頬も緩む。


だけど、秀明さんが、そんなことを?

彼がマメに電話をくれるのは、今までの経験がトラウマになってしまっていて、私との仲も同じ結末をたどるのではと過剰に心配しているのだと思っていた。

だから何度も、「絶対に待ってますからご心配なく」なんて冗談めかして伝えてきたけど、それがよかったのかな?

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