箱入り結婚のススメ

真っ直ぐな思い


週末、秀明さんが結婚のことで家に来ることになった。
だけど、父と母には秀明さんが来るということしか伝えていない。

十時頃、彼の到着を待っていると、玄関のチャイムが鳴った。

慌てて玄関を開けると、いつもと変わらない彼の顔。
私はガチガチに緊張しているというのに。


「おはよう、舞」

「おはようございます」

「はー、緊張するぞ」


秀明さんはそう言いながら、ネイビーのレジメンタルタイを締め直す。
動揺などまったく垣間見えない彼は、緊張しているようにはとても見えない。


「こんにちは。ご無沙汰しております」


すぐに顔を出した母に、彼は頭を下げた。


「こんにちは。ワシントンはいかがでしたか?」

「えぇ、ジメジメして暑かったです。
ですが、休日に観光もできて、充実しておりました」


そう言いながら彼は母に土産を手渡す。



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