箱入り結婚のススメ

休日だけど、彼はスーツ姿だ。

母になにか言われるかもしれないと思ったけれど、会社帰りに私と食事をして、そのままスーツ姿で送ってくれることも多かったからか、さほど気にしていないようだ。


「いつも気を使っていただいて、ごめんなさいね。さ、おあがりください」


最初は父と同じように、あまりいい顔をしていなかった母も、今ではすっかり秀明さんに心を許しているように見える。

そんな母に結婚の話をしたら、喜んでくれるだろうか。
だけど、父は?


「お邪魔します」


リビングに向かうと、父が読んでいた新聞から視線を移して「室賀君か」と声を上げた。
彼が来ることを知っていたくせに冷たい態度をとるのは、一応諸手を挙げて交際に賛成しているわけではないぞと言いたいのかもしれない。


「今、紅茶を淹れますね。舞、手伝って?」

「はい」


私はいつものようにキッチンに向かった。

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