箱入り結婚のススメ

小さな頃から厳しくしつけられ、父に意見することもとがめられ……それが普通だと思っていたけれど、社会に出て自由な空気を吸ってしまってから、どこかで父と母が重く感じていた。

だから園から帰ってきたら、食事とお風呂以外はほとんど自分の部屋にこもっていた。
もしかしたら、父の寂しさを増強させたのは、そのせいなのかも。


「ありがとうございます。
いたらないところもありますが、精一杯努力いたします。
ですが、お父様には、快く結婚を承諾していただきたいので、焦るつもりはありません」


秀明さんは最初からこうなるのを想定していたのかもしれない。


「それと、私が速水姓を名乗ることに、異存はありません。
私にとって舞さんと一緒にいられることが第一ですから」


私のことばかり考えてくれる秀明さんに頭が下がる。


「ありがとうございます。
でも本当に主人はそんなことどうでもいいの。
それに、女は……好きな人の名字を名乗れるのって、ちょっと憧れだったりするんですよ」
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