箱入り結婚のススメ
彼も黒いタキシードを着ている。
普段スーツ姿を見慣れているけど、今日はまた一味違う。
一度試着をしただけなはずなのに、まるで自分のもののように様になっている。
「すごく……綺麗だ」
思わず顔を上げると、彼と視線が絡まる。
プロポーズされた時のように、ドキドキが止まらない。
「ありがとう、ございます」
なんだかもう泣きそうだった。
麻子もドレスを着たとき、目を潤まていたことを思い出し、やはりウェディングドレスは女の憧れなのだと思う。
「俺……幸せだな。こんなに綺麗な奥さんもらえるなんて」
いつだってそうだ。
秀明さんは、大切なことは言葉で伝えつつけてくれる。
だから自信が持てるのだ。
「私も幸せです」