箱入り結婚のススメ

彼も黒いタキシードを着ている。
普段スーツ姿を見慣れているけど、今日はまた一味違う。

一度試着をしただけなはずなのに、まるで自分のもののように様になっている。


「すごく……綺麗だ」


思わず顔を上げると、彼と視線が絡まる。
プロポーズされた時のように、ドキドキが止まらない。


「ありがとう、ございます」


なんだかもう泣きそうだった。

麻子もドレスを着たとき、目を潤まていたことを思い出し、やはりウェディングドレスは女の憧れなのだと思う。


「俺……幸せだな。こんなに綺麗な奥さんもらえるなんて」


いつだってそうだ。
秀明さんは、大切なことは言葉で伝えつつけてくれる。

だから自信が持てるのだ。


「私も幸せです」


< 391 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop