箱入り結婚のススメ

「舞が箱入りで良かった」

「どうして、ですか?」


きっと面倒な恋だったのに。
私達にはクリアしなければならないことがたくさんありすぎた。


「ご両親に大切に育てられたから、こんなに素直で綺麗な心を持っている。
そんな女を自分の妻にできるなんて、贅沢この上ない」


秀明さんは、私のお腹に回した手に力を込める。
そんな言い方をしてくれるけれど、きっとそれも彼の優しさだ。


「愛してるよ」

「私も、です」

振り向いた私を優しく見つめた彼は、触れるだけのキスをする。
そして、軽々と私を抱き上げ、リビングを出て寝室に向かう。


「あっ、あのっ……」

「知ってる? 今日、新婚初夜」

「そ、そうですけど……」


まだ二十時前だし。
帰ってきたばかりだし……。


そんなことを頭の片隅で考えているくせに、本当は私も彼と同じ気持ちだ。


彼にたっぷり愛されたい。
そして……愛したい。

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