箱入り結婚のススメ

寝室に行って着替えると、貴也はもう椅子に座っていた。

しかも、舞の隣だ。
はっきり言っていい気はしない。


「カレーだ」


長期出張のあとは、俺の希望もあって、オムライスやカレーが多い。

今日も俺のためにありがとう。と心の中で言いながら席に着くと、すぐに出てきたカレーライスはいつもとちょっと違う。

舞はスパイスの効いたキーマカレーが得意で、それをよく作ってくれているんだけど、今日はジャガイモがゴロゴロしている。


「ごめんなさい。貴也君が食べられないといけないから」


待てよ……貴也のための、カレーなのか……。
ガッツリ落胆したものの、ここは我慢だ。


「うまそうだ」


笑顔を引きつらせながら、スプーンを手にした。

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