箱入り結婚のススメ
おいしそうなものばかりで決めることができず、いつまでもメニューとにらめっこしていると、室賀さんはクスクス笑って私からメニューを取り上げた。
「マスター」
あっ、呼んじゃった。
まだ決めてないのに……。
「牛ホホ肉のシチューと、白身魚とホタテのグリルで」
室賀さんは料理を二つ頼んでいる。
「新しい発見。舞さん、かなり優柔不断なんだ」
室賀さんの言う通り、こういう時はなかなか決められない。
「どちらも僕の最近のお気に入り。よければ半分ずつ食べようか?」
「はい」
シェアするのもなんだか楽しい。
誰かと分け合うなんて、初めての経験だ。
そんなこと、家では許してもらえない。
「本当は、すごく迷ったんだ」
「えっ?」
「うん。舞さん、舌が肥えてそうだから、どんなところに誘えばいいんだろうって。
ネットや情報誌を見て探したんだけど、そんな背伸びしても仕方ないかなって思って。いずれはバレるし」