箱入り結婚のススメ

「すみません、私……ちょっと室賀さんとお話ししたいな、なんて」


勇気を振り絞った。

室賀さんだって、一生懸命私に気持ちを伝えてくれているのだ。
私も少しは努力しないと。


「いや、顔がにやける。すごくうれしい」


室賀さんは少し恥ずかしそうに微笑む。


「舞さん、なにを食べたい?」

「いえ、なんでも……」


恥ずかしくて頭が真っ白だった。
だけど、彼がそうやって喜んでくれて、私もうれしい。


結局、室賀さんお勧めの"リアン"というレストランに向かった。
そこは、かしこまったレストランというよりは、気軽に入れるカフェのようなところで、こじんまりとしていて、教えてもらわなければ絶対に見つけられないようなお店だ。

「ここ、マスターひとりで切り盛りしてるんだけど、すごくうまくてお勧めなんだ」

「ワクワクします。なにがいいかな……」

「シチューも絶品だし、このエビフライも大振りでサクサクだし、唐揚げも揚げ具合が絶妙で病み付きになるよ」

< 95 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop