初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~
「親はともかく、なんで、オレ、誘ってくれなかったの?」
ママ、カナと行くようにって、散々言ってたもんね。
「だって、ハンドクラフト展なんてカナ、つまんないだろうし」
そう答えると、今度は、カナ、深いため息を吐いた。
「あのね、ハル」
カナが真顔でわたしを見る。
わたしもつられて、
「はい」
と真面目に返した。
「男ってのは、好きな女の子の願いは、何でも叶えてあげたいの」
分かる? って聞かれても、分かるような分からないような……。
だってわたしは男じゃないし。
「オレさ、別に動物園も遊園地も映画も、そんな好きってわけじゃないし、
デートの場所にはこだわらないよ?」
「え?」
カナの言葉に、絶句すると、カナがまた、ため息を吐いた。
「ハル、付き合ってる男女が休みの日に一緒に出かけるのを
世間ではデートって言うの」
噛んで含めるように、カナはゆっくりと、わたしの目を見て話す。
「わざわざ休みの日に一人で出かけるな」
カナが拗ねたように言った。
「オレ、学校だけじゃなくて、休みの日にも、ハルと会いたいよ」