初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~
「……ごめんね」
「あやまらないでいいって。でも、」
とカナはわたしの手を取り、両手で包み込んだ。
「来週からは、ちゃんと、オレも誘ってね」
にっこり笑うカナの笑顔がまぶしかった。
「……ん」
なんとなく、……なんとなく、
そうしても、いいのかなって思って、
カナの肩にもたれると、
カナはまた、とっても嬉しそうに笑った。
「ハル、大好きだよ」
耳元でささやかれるカナの声。
大好きな、カナの声。
わたしも。
カナ、大好き。
って言いたいのに、恥ずかしくて言えない。
なのに、想像しただけで、わたしは赤くなって、またうつむいて。
カナはそんなわたしを急かすこともなく、また、頭をぐりぐりとなでてくれた。