バカップルに花束を。
幼なじみ
わたし真咲(25)には2人の幼なじみがいる。



麻衣ちゃん(25)


将くん(25)


町内の子どもたちが公園デビューする「ちびっ子広場」を取り巻くように、わたしたちの家はある。


そこで知り合ったのは3歳くらいだっただろうか(子ども過ぎて、記憶が曖昧)


同い年なので、わたしたちも、母親たちも、すぐに意気投合した。


それ以来、幼稚園も一緒。


小学校も一緒。(6年間、同じクラスというわけじゃなかったけど)


中学校も一緒。


高校も一緒。(2年と3年の時は、3人同じクラスだった)


大学は、学部は違うけど一緒。


さすがに就職先は別々だけど。


いつも3人一緒にいた。幼なじみなんて枠を飛び越えちゃってるんじゃないかと思う。


たまに、わたしよりも2人の方が、わたしの家族のことに詳しかったりする。


わたしは、本当に2人のことが大好きだ。


そんな幼なじみの2人が、ちょっとおかしいんじゃないかと感じ始めたのは、いつ頃だっただろう。


1番古い記憶は5歳くらい?


暑い夏の日、わたしと麻衣ちゃんは、将くんの家に遊びに行っていた。


将くんの家に遊びに行くと、いつもおばあちゃんが手作りのおやつを作ってくれて、その日のおやつはプリンだった。


「麻衣ちゃん、付いてるよ」


そう言って将くんは、カラメルソースが付いた麻衣ちゃんの唇に、自分の唇を重ねて舐めとってしまったのだ。


麻衣ちゃんも麻衣ちゃんで、「ありがとう」と、さも当然のように笑顔を見せてた。


何だったんだ、今のは...


目の前で起きた2人の行為を、わたしは唖然として眺めることしかできなかった。


その頃から麻衣ちゃんは、「大人になったら将くんと結婚する」と言い出したような気がする。


そして事あるごとに、2人はわたしの前でチュッチュ、チュッチュとやってくれる。


唇に何か付いてると言ってはキスをし、


「麻衣のリップクリーム、味見させて」と言ってはキスをし、


「将くん、唇が乾燥して割れそうだよ。潤さなきゃ」と言ってはキスをし...



幼い頃は見て見ぬ振りをしてきたけど、小学校も高学年になる頃には、この2人はおかしいんじゃないかと思うようになった。


中学に入っても、高校に入っても、全く変わらず、わたしの前でイチャイチャしてくれる。


他の人の前ではしてないだろうな!?
ってか、わたしのまえでもするな!!


大学生になり学部が離れたから、これまでのように一緒にいる時間は少なくなった。

それでも暇さえあれば、3人でくっついていた。他に友だちがいないのかって言われるくらい。


大学を卒業し、それぞれ違う仕事に就いてから、ますます一緒の時間は減った。


わたしは普通の事務職。

麻衣ちゃんは幼稚園教諭。

将くんは自動車販売店の営業マン。


それぞれ地元で社会人になり、もうすぐ3回目の春。


将くんは、家業の跡取り修行のために会社を辞めて、実家であるスーパーに入った。

麻衣ちゃんも、将くんをサポートするために、仕事を辞めた。

桜が咲く頃、2人めでたく結ばれる。
心と体は、とっくに結ばれてたけど。



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