ファインダー越しの恋
後ろ姿が見えなくなってもしばらく奥を覗き込んでいると、福山のおっちゃんが代金を持って出てきた。


「お前、なにやっとるんじゃ」

「おっちゃん、あの子・・・」

「ああ、シズのことか?」


シズっていうのか。
名前まで綺麗じゃな~。


彼女の名前を聞けたのは、今日の一番の収穫だった。


「ほれ、落とすんじゃないぞ」

「ありがとう!おっちゃん!」 

「お前も小さいのになかなか感心じゃの」


そう言ってキャラメルをくれた。

福田のおっちゃんにお礼を言って、俺はその日のお使いをとっとと済ませた。
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