キスしたくなる唇
 無意識に隣に座ると、思ったよりソファは狭く怜央の腕に当たってしまった。

 怜央も一瞬戸惑ったみたいで、別の場所に座ろうかと腰を上げる。

 「えっ!? いいのっ! 大丈夫。わたしの方こそ、ごめん」

 すぐ近くの怜央はきれいな顔の造りの細部まで見える。

 部屋に戻ってから、怜央は黒縁のメガネを外していた。だから、弧を描く眉や涼しげな目元、少しアンバランスな唇をまじまじと見てしまって、はずかしくなり顔が熱くなった。

「食べよう?」

 わたしは取り繕うようにテーブルのハンバーガーを1つ取って怜央に渡す。

「ありがとう。いただきます」

 腰を落ち着けた怜央はハンバーガーの包みを開けて大きな口でパクリ。

 美味しそうに食べる怜央から目を離し、わたしもハンバーガーの包みを開けた。

 食べながら両親たちの話や、怜央の仕事の話を聞いていた。


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