その手に触れた恋
「ナナ・・・ごめん。連絡しなくって。」

「ううん・・・ちょっと心配だったけど。きちんと答えが聞きたいから。」

久々に感じるヒデくんの胸元。

心臓の鼓動が鳴り響いてる。

「大丈夫?ヒデくん・・・」

「ナナ・・・。すぐ結婚はできないけど・・・

産もう。子供。」

「いいの?うちの両親だって、ヒデくんの家族にだってなんて言ったらいいか・・・」

「じゃぁ、おまえは俺の堕ろせるのか?」

「・・・・」そんなことできないよ。わたし。

「ナナ・・・」

「ちょっと頼りないお父さんになっちゃうけど・・・よろしくお願いします。」

ヒデくんは深々と頭を下げた。

「そんな・・・わたしこそ・・・」

「でも・・・もし子供がダメってなったら・・・私、この髪切っちゃうつもりだったんだ」

「馬鹿だな。ダメなんてないよ。絶対・・・」

「頭を上げて。」彼は私の頭を優しく撫でた。その手は出会った頃よりたくましい・・・。

「髪切ったって、俺はおまえが好きだよ。可愛い俺のお嫁さんだ。」

「何~?お嫁より先に私、ママになっちゃうから」

「そだな」

こうしてヒデくんと私は

また歩み出した。

「ねえ・・・ヒデくん。私は絶対離さないよ。」

ヒデくんの手は

最高に癒しになるの・・・。

こうしてお腹をさすってると、特にね・・・

お腹の赤ちゃんもとっても落ち着くみたい。

とってもあったかいその手は・・・

「うぅっ・・・ヒデくん・・・」

夜明けの分娩室で

私は新しい命と向き合っていたの。



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