その手に触れた恋
それは、毎月のアレが来なくって私は勇気をもって検査薬を買いに行ったときのこと。


「ヒデくん・・・見て。コレ・・・」

「それ・・・マジか?」

「うん・・・・」


結果は陽性だった。

「デキタかも・・・私」

「うん。」

ヒデくんは一瞬すっごく喜んでくれたけど

次の瞬間、顔がこわばっていた。

「どうしよ・・・」

ヒデくん・・・?

その日から私たちは何となく連絡が取りづらくなってしまって・・・

私の恋は急に現実的っていうか・・・

いや。この現実に向き合わなきゃいけなくなったって実感。

女である私はとにかく「しっかりしなきゃ!」って本気で考える日々。

「好きだけど・・・。

ヒデくんはどうなの?・・」

迫る決断の時間が妙に私を焦らせる。

「ツヤ・・・無くなったな・・・そういえば」

鏡を見ると

あんなにツヤがあった私の黒髪は

ボサボサで美しくない。

「ヒデくん・・・答えて。」

もし、子供を諦めることになったら私・・・。

「この黒髪をバッサリ切っちゃうから!」

そう言いながらも、髪を今も整えてる。


「ナナ・・・来て」

ヒデくんからのメール

1週間ぶりだった。

ドアを開けると

ヒデくんはそっと抱きしめてくれた。
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