黒瀬くんの恋模様。




「…ハル先輩は、俺にとっても文香にとってもずっと大人で憧れっすよ」




ずっと黙っていた黒瀬くんが私とハル先輩よりも少し前で口を開いた。





「バスケが上手いハル先輩も、見た目のわりに明るくて話しやすいハル先輩も、人のために一生懸命なハル先輩も。俺と文香の目指していた大人でした。」



ハル先輩は少し頬を紅くして、照れたように唇を噛み締めていた。




「…だから、次こそ文香と幸せになってください。二人で喧嘩して、二人で仲直りして、二人で隠し事がない、そんな二人になってください。二人で恋愛してください」





…そう言えば、色んなことが起こりすぎて忘れてたけど…







黒瀬くんとふみちゃんの問題は……?





「千尋」






さっきまでの流れと、ハル先輩のこの切ない表情。





「二回も文香を奪ってごめんな。…代わりに、もっと欲しいもの貸してやるよ」





私が、え?と思っていると…






「…涼、いこうぜ」




手のひらに感じる人肌




温かくて、安心する…




そう、この手に触れてほしかったの











































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