嘘つきラブレター



「…大学生になるの、嫌だなぁ。」



少しだけ、本音が心の中から零れてしまった。



泰秀がいない教室
泰秀がいない授業
泰秀がいない学園祭



それを思い浮かべても、楽しくてキラキラしているものは想像できなくて。




寂しい寂しい。さみしいさみしいさみしい。


教室も授業も学園祭も、どんな楽しいことがあっても、泰秀がいないと意味ないよ。




「なーに、弱気になってるんだよ。」



そういって泰秀は私の頭を、ポンって。


軽々しく触れて、せっかくセットした髪をクシャクシャにする。

あっけらかんとした口調で、泰秀はケラケラ笑って。そんな姿は、私の胸をキュッと痛くする。




あーあ、崩れちゃった。これセットするの大変だったのに。
泰秀に少しでも可愛く思ってもらいたくて、朝、頑張ったのに。



泰秀は、いとも簡単に壊してしまうんだ。



< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop