俺様常務とシンデレラ
「いや、今ちょうど、どんなキスで起こしてやろうか考えてたとこだった」
「ふつーに起こしてください!」
私が手のひらで常務の腕をペチッと叩くと、常務は楽しそうに声を上げて笑った。
そしてちゅっと可愛い音を立てて、私の唇にキスをする。
むっ……!
おはようのキス……!?
うぅー、悔しいけど幸せ!
「可愛かったから心配するな。寝顔も、昨日の夜も」
「なっ!」
頬が一気に熱を持ち、私はそれを隠すように両手で頬を覆った。
それでも恥ずかしさは収まらなくて、常務にくるりと背を向け、そのまま広いベッドをコロコロと転がって離れようと思った。
だけど一回転したところで常務の腕に捕まり、腰を引き寄せられ、またすぐに後ろからやんわりと抱きしめられる。
「まだ朝早いし、今日は休みだ。どっちの時間もたっぷりあるって言っただろ。次はたっぷり寝る番だ」
常務は私の頭のてっぺんにくちづけて、腕の中に私を囲ったまま、スヤスヤと寝息を立てはじめた。
しばらくもぞもぞと身じろぎしたけど、私を抱き締める腕はなかなか離れそうにない。
私はすぐに諦めて、幸せで甘い朝にニヤニヤしながら目を閉じ、もう一度夢を見たのだった。