俺様常務とシンデレラ
俺はその言葉に顔をしかめる。
ダメだ、こいつ。
とーちゃん、こんなへっぽこ秘書ははやく替えた方がいいぞ。
「バカかお前。そういうのは自分で見つけないと意味ないんだよ」
俺がそう言って教えてやると、夏目はきょとんと目を丸くしてからくすくすと笑った。
なんだ、失礼なやつ。
「お母さまがそう仰られたのですか?」
「はあ!? ちげーよ、ジョーシキだよ! ジョーシキ!」
くそう、なんでどいつもこいつも恥ずかしいことをサラッと言えるんだよ。
そんな、俺がお母さんに影響されてるみたいに言うな。
こいつら若いから、そういうこと言えるんだな。
俺はなんだか暑くなって、ジャケットを脱いで夏目に預け、黒いベストとシャツだけになった。
と、まあ、こんな風に、俺の周りには手のかかるやつがいっぱいいるんだ。
俺はせっかくの誕生日にもふうっとため息をついて、もう一度空を見上げた。
風に流されて雲が動き、隙間から月が顔を出す。
背中側にある教会ではリサイタルがはじまっていたようで、有名なワルツが聞こえてくる。