俺様常務とシンデレラ
彼は私にアンクレットを授けてくれた張本人。
離れ離れになったふたりだけど、20年の月日を経てもう一度巡り会い、そしてふたりはもう一度恋に落ちた!
なんてロマンチックなの!
うっとりせずにはいられない夜なのに、ハイテンションな私とは対照的に、なんだかげんなりと疲れた様子の大和さんは蝶ネクタイを外してドサリとベッドの上に腰を下ろす。
私はぶーぶーと唇を尖らせながら柔らかい間接照明が灯された寝室を歩き、その隣に座った。
「大和さんだって、自分から王子様になるって言ったくせに……」
「おいお前、二度とそれを言うな。次に言ったら撤回してやる」
大和さんは眉間にシワを寄せて、心底イヤそうな顔をする。
ほらね、聞いた?
私が理久さんのことを名前で呼ぶのをイヤがって、自分は"大和さん"って呼ばせるくせに。
私のことは"お前"って呼ぶなんて。
大和さんはやればできるんだから、少しくらい甘〜い王子様みたいになってくれてもいいのに。
「もう、雰囲気じゃないですか! そうですねえ、大和さんは最初は第二王子あたりがちょうどいいと思うんですよ」
「なんの話だ」
うーん、と真剣に妄想を炸裂させる私を、大和さんが呆れた顔で見ている。
それでもベッドの上に腰掛けたふたりの間には、誰も入り込む隙間はない。