俺様常務とシンデレラ

そういう小さなことひとつひとつに私が幸せを感じているって、大和さんはわかっているかな。


「第一王子が理久さんだと想像してみてくださいよ! 私は理久さんのお妃候補である、隣国のお姫さまなんです。このままでは王位の座は理久さんに渡ってしまいます!」


そうそう、大和さんには、第一王子の暗殺を企む第二王子みたいな、ちょっと悪い役が似合うと思うんだよね。

相手が理久さんなら、気分ものってくるんじゃない?


あなたは第一王子を蹴落とそうとしている、腹黒い第二王子よ!


「そこで大和さんは、理久さんの恋人である私をたぶらかし、第一王子に恥をかかせてやろうと……」

「ふざけんな」


大和さんの不機嫌な声が私の妄想を切り裂き、突然身体を引き寄せられた。

腰と背中に回された力強い両腕が、私たちの間の隙間をなくす。


ぴったりと抱き寄せられ、驚いて顔を上げれば、拗ねた顔の大和さんが私を見下ろしていた。



「誰が誰の恋人だって?お前が他の男のもんだって考えただけで虫唾が走る」

「……え?」



えっ? えぇっ!?

私の妄想なんてアホみたいって言って取り合ってくれないくせに、そんなとこには嫉妬するの!?


大和さんってやっぱり、ちょっとヤキモチ妬きなんだ!
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