運命の二人~白と黒の物語~

散歩②

凛々が池に行く少し前。
ジャスティスの参謀であるバルゴが朝の報告を終え、渡り廊下を歩いていると、庭を歩いていく凛々の姿をみかけた。


(あれはリリー・ルゥ嬢ではないか?何故あんな所を一人で歩いているんだ?)


バルゴが不思議に思うのも無理はない。

今凛々が歩いている場所は騎乗用の妖獣を訓練したり、運動させる為の庭だったのだ。


凛々はいつの間にか裏庭に出てしまっていたのだ。


(今日は訓練はないはず。まあ、命の危険はないな)

そう思い、スタスタと歩き去った。


あの女とは出来る限り関わりたくない。

たった一人の我が儘で国が今どんなに深刻な危機に瀕しているか。殿下がどれだけ奔走しているのか知ろうともしない。


…いっそのこと妖獣に喰われてくれたら有り難い。

自分のその思い付きが気に入り、ニヤリとほくそ笑んだ。



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