色のない世界。【上】




じじいを見ていると目が合った。




「おぉ、悠汰か。久しぶりじゃねぇか、元気にしてたか?」




うっすらと笑みを浮かべて俺を見るじじい。
俺はまぁまぁと言って下座に座った。




俺の隣には親父が座り、女とヤマトは部屋の出入り口付近に座らせられていた。




じじいは女が座るまでじっと見つめていた。




「…お前、凱斗の子か?目つきがよく似てる」




自分の父親のことを知っているじじいに驚いたのか、女は目を見開いている。




じじいは表情を変えずにキセルの灰を灰皿に落とした。




「にしても懐かしいな、九条院家とは。儂も若え時は世話になった、なぁ?喜史」




じじいの言葉に親父は少し気まずそうな顔をした。
なんだ、あの親父の顔は。




親父も昔九条院家と何かあったのか?



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