色のない世界。【上】
知らなかった。
絵里香姉様が私のことをそんな風に思っていたなんて。
私は黒女に産まれたのが絵里香姉様のせいだなんて、思ったこともないのに。
黒女として私が産まれたから、絵里香姉様を苦しめてしまったとばかり。
でも私という黒女が産まれたことで、絵里香姉様の負担が軽くなればいいとも思っていた。
それとは裏腹に、絵里香姉様は自分のせいだと責めている。
絵里香姉様はずっと自分を責めて生きてきたの?
あぁ、私はどうしたら絵里香姉様を苦しみから解放することが出来るのだろうか。
「…でも今のあいつはだいぶ楽そうに見えた。
初対面とはいえ、そんな感じがした」
「…楽、そう…?」
泣きそうになるのを堪えていたら、悠汰の声が聞こえて涙は治まった。
「あいつの護衛人がそうさせてるのかもしれねぇな。
あの護衛人がいるから、支えてくれてるから、あいつはここまで来れたんだって伝わってきた」
絵里香姉様の護衛人…真。
確かに彼は絵里香姉様が黒女ではなくなってから、絵里香姉様の護衛人になった。
それから徐々にだけれど、絵里香姉様は笑うようになった。
絵里香姉様に会う度に真への愚痴を聞いていた気がする。