精霊の謳姫




「…まぁ良い。
代わりなぞ、いくらでもおる。

リディアが無事ならそれで良い。」



「…はい。」






先程までの冷酷さが嘘のように。


穏やかな表情で魔導師を見下ろす。






ピシャッ…と。


静寂を切り裂いて、

曇天の立ち込める灰色の城下を

一閃の稲妻が奔り、

そして、



…消えていった。



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