エターナル・フロンティア~前編~

「付き合っているの?」

「付き合っては……いないけど」

「じゃあ、この中の誰かが貰っていいのね」

 貰っていい――

 幼馴染をモノのように扱うクラスメイトに不満たっぷりの表情を作るも、イリアは反論をすることができないでいた。そもそも、イリアは何かに対して反論することが苦手であった。

「銀髪の人が幼馴染ということは、もう一人の人は?」

「友達かしら?」

「兄弟ということは、ないでしょうね」

「えっ! 似ていなかったわよ」

「それなら、やっぱり友人でしょう」

 理想の対象とは見られないカディオはソラと違い、言われ放題。中には失礼だと思われる発言もあり、思わず戦く場面もあった。それだけソラは、彼女達の理想にマッチしていた。

「また、来ないかしら」

「来たら、告白しないとね」

「そう、絶対に告白よ」

 どうやら本気でソラを彼氏にしたいと思っているらしく、彼女達はやる気満々であった。たとえ相手がクラスメイトの幼馴染であったとしても、恋と友情は別問題。イリアがグズグズしていたら、横から掠め取られてしまうだろう。恋は先手必勝なので、悠長に構えている方が悪い。

「何も言わないってことは、良いってことなんでしょ?」

「じゃあ、もう一人の人も」

「えっ! 好みなんだ」

 イリアは和気藹々と続けられる会話を聞きつつ、今後のことを考える。アカデミーを卒業し、何処かの研究所に就職をする。そしてその後は――そう、自分の恋愛はどうなってしまうのか。

 望んだ職業に就き、望んだ相手と恋愛する。理想の形としては、それが一番だった。しかし、現実はそんなに甘いものではない。無論、イリアはそれを知っている。知っているからこそ、なかなか前に突き進むことができない。それが今の世界情勢であり、現実であった。
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