エターナル・フロンティア~前編~

「イリア……いえ、幼馴染からの電話で、貴女が会いたいと聞いた時は、正直……驚きました」

「迷惑?」

「それはありません。僕も……貴女に……切っ掛けがなかったので、とても嬉しかったです」

「有難う。そう言ってくれて」

 どちらかといえば、レナは不安要素の方が大きかった。互いに接点があるといっても、積極的に連絡を取り合う仲ではない。それに二人の関係は、言葉で表せない部分が明らかに強い。

 しかしソラの方も、連絡を取りたいと考えていた。それを聞いたレナは、心の中に溜まる物が薄らいでくる感じがした。

「今は、大丈夫?」

「はい。何とか……」

 正直、ソラの顔色は普通の人間に比べれば、いい方ではない。だが、彼等――力を持つ者は、このような顔色をしている者が多い。

 それに長年の経験で、ソラの体調がいいと見抜く。

 健康的な生活というわけにはいかないが、それなりの生活を送っていることに安心する。また、全ての面が保障されているわけではないが、それでも生活を送れることだけ幸せである。

 それに――

 ソラには、支えがいる。

「彼女は、いい子ね」

「彼女?」

「幼馴染よ」

「ああ、イリアか」

「貴方のことを、真剣に考えているわ」

「……そうですか」

 レナの言葉に照れを覚えたのか、ソラは人差し指でポリポリと頬を掻く。しかし、悪い気がしない。彼女にそのように思ってくれるのは有難く、同時に自分をどのように見ているのか判明した。

 刹那、チクっと心が痛む。

 やはり、感情が過敏に反応を示す。

 勿論、イリアの反応は嬉しかった。嬉しいが、立場を考えると今一歩踏み込めないのが現状だ。これに関しての回答は、タツキにも言われているのだが、いまだに明確な回答を出していない。ソラとして、もう一人の回答を欲しいと考えていた。その為、思い切って質問をしていた。
< 461 / 580 >

この作品をシェア

pagetop