エターナル・フロンティア~前編~

 ソラの状況を考えると、治療には半日掛けた方がいいと判断する。その間、当初の目的のデータ収集は行なえない。

 そして治療に関しては他の者達に任せても平気と判断したのか、ユアンは短い言葉を掛けた後、部屋から出て行く。

 一人になった時、再びどす黒い感情が心の中を覆う。その瞬間、表情が怪しく歪んでいった。

(さて……)

 このような状況を招いた人物に責任を取ってもらわないといけない。それに、邪魔者は早めに排除した方がいい。また、その者は今回の件で自身の立場を危うくした。同時に敵を増やす。

 ユアンの手は血で汚れているので、今更後悔の念に駆られることはない。また、懺悔も不要だ。

 この時、体内に住み着く悪魔は目を覚まし彼の身体を支配する。

 さあ、殺せ。

 囁く悪魔の声に頷き返す。

 そして歩みを進め、血を求めに行く。
< 539 / 580 >

この作品をシェア

pagetop