エターナル・フロンティア~前編~

第五話 片翼の小鳥


 無能は下の者のやる気を削ぐ。

 それが、ユアンの考え方。だから、無能の対象を排除に向かう。この世から、綺麗に全て――

 相手の名前は、ジェイク・マッカーディ。ソラと合成獣(キメラ)を戦わせる時にいた科学者(カイトス)である。

「何の用だ」

 突然のユアンの登場に、相手のカイトス――ジェイクは不機嫌な表情を作り、言葉を吐き出す。

 しかしユアンは無言を貫き、冷たい視線を向け続けている。すると、堪り兼ねたジェイクが再び口を開く。

「何の用だと聞いている」

 相手を威圧するつもりで発した言葉であったが、ユアンにとっては逆の効果を齎す。ユアンはジェイクの発言に肩を震わせ笑うと、相手を見下し低音の声音で逆に相手を威圧していく。

「貴方はよく怒鳴る」

「何?」

「怒鳴るだけでは、誰もついては来ない」

 普段のユアンであったら相手に対し敬語を用いているが、殺す相手に対し敬語を使う必要はない。それどころか徐々に言葉の抑揚が変わり、発せられる言葉が汚らしい。また、暴言も混じる。

「お前は、立場がわかっていないのか」

 ユアンより地位が上。それがジェイクを支えている微かなプライドなのだろう、腰掛けていた椅子から立ち上がると指差す。だが、そのプライドさえもユアンは非情にも打ち砕く。

「わからないのは、貴方だ」

 例の件で、彼の地位は失墜した。いや、正しい意味で言えば関係していない。要は、ジェイクに味方していた人物が彼を裏切ったのだ。自分達は関係ないといいたいのだろう、今彼の味方は誰もいない。

 ユアンから聞いた真実に、ジェイクは指差していた手を下ろすと自分の頭を激しく掻きだした。

「な、何故だ」

 彼等の望むように動き、望むように働いた。それにより短期間で出世し、今の地位に就いた。中には言葉で表現するのも憚れるようなことも行い、ユアン同様に手を血で染めて言った。それだというのに、簡単に切り捨てられた。突き付けられた真実に、ジェイクは発狂する。
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